胴体の次は主翼です。これも必要な部品をダイカットシートから取り出し、最初にレイアウト的に並べます。
この時、重要かつ後で取り返すのが難しい事項として、左右の重量バランスを取る、という事があげられます。
同じ形状に切り出された部品を組み立てるだけなのに、左右で重量差が出るとはどういうことでしょう。
既に作業完了した胴枠もそうですが、翼の部品等は左右一対、同じ形の部品が2つづつ必要です。
こういった場合、Guillow'sのキットでは、同じダイカットを施した2枚のバルサシートが部品として入っています。
バルサ材は言うまでもなく天然の木材なので、それを加工したバルサシートも、一枚づつ密度が異なります。
このため、あるシートから切り出した部品を右側に、別のシートから切り出した部品を左側に、と偏って使用すると、左右で重量に差が出る結果となってしまいます。
これを避けるためには、2枚のシートから切り出した部品をシャッフルして使用する事になります。
上の写真を良く見ていただくと、微妙に色調の異なる部品が混在していることが分かると思います。
仮にシート1からの部品とシート2からの部品に分けて見ると、前縁材と後縁材は、右翼ではシート1からの前縁材とシート2からの後縁材、左翼はシート2からの前縁材とシート1からの後縁材、というふうに配置してあります。
また、リブについてもシート1からの部品とシート2からの部品が左右で均等に近くなるようにシャッフルされています。
次はリブにスパーを通すための切り欠きを入れていきます。
この作業は胴枠の時にも行いましたが、リブにも同様に入れていきます。
ちなみに、胴体表面を前後方向に走る縦通材はストリンガーと呼んでいましたが、主翼の場合は翼桁、スパーと呼びます。
胴体を組み立てたときと同じく、クリアファイルにはさんだ図面の位置にあわせて、前縁、後縁、翼端材を仮止めしていきます。
リブや胴枠を接着する際、直角を出す必要がありますが、このように直角の出た金属のブロックを使用すると作業がしやすくなります。
写真のブロックはホームセンターで購入した20mm角の真鍮ブロックです。
材質はある程度重みのある金属ならば、どれでも問題無いと思いますが、アルミは軽すぎて使いづらいかも知れません。
リブと上面スパーを接着し終えました。翼端材も接着しています。
ただし、この後上半角を付けて固定するため、センターセクションと左右の翼はまだ接着しません。
上半角は図面上では翼端部で15/16"と指定があります。1インチは25.4mmなので、15/16インチはおよそ24mm程度です。
写真真鍮ブロックは20mm角なので、翼端より少し内側を支える事で指定の上半角になるように翼端を持ち上げます。
ここは数字を精確にするのも大事ですが、それ以上に左右で均等な上半角になるように気をつけて固定します。
上半角が決まったら、センターセクションと左右翼を接着します。
上半角が付いて左右一体となった主翼。
しかし、Guillow'sのキットはエンジンをつけて飛ばす事まで視野に入れているからなのか、強度過剰気味で、ゴム動力のような弱い動力で飛ばすには重くなりすぎる傾向があります。
このため、左右のバランスを取りながら、前縁材、後縁材の内側を削って行きます。
通常、こういう場合は軽め穴という形で肉抜きしていく場合が多いと思いますが、柔らかくて薄いバルサにドリルで穴を開けるのは、部品が割れやすく危険です。(私が不器用なだけかも・・・)
このため、私の場合は内側からデザインナイフでガリガリ削って行きます。
強度的には外縁部で2~3mm程度も幅が残っていれば十分なはずです。
もちろん、削ると重量バランスが変わってきますので、大まかに削ったら翼の中心を指に乗せ、左右のバランスを見て行きます。
重いほうを追加で削り、大まかに左右の重量を合わせて行きます。
主翼が出来たら、次は尾翼です。
これも同じように、図面のコピーを切り抜いたものをクリアファイルにはさみ、その上に部品を並べて行きます。
水平尾翼については、左右で部品をシャッフルするのは主翼と同じです。
垂直尾翼については、2つ部品が取れるものについてはより軽い(=柔らかい)部品を選別して使用します。
尾翼の中の骨は1/16"バルサ棒からザクザク切り出して図面どおりに埋めて行きます。
固定用のマスキングテープが見当たらないですが、実はこれ、バルサ材をクリアファイルに瞬間接着剤で固定してしまっています。
接着剤が乾いてしまえば、ペリペリと剥がす事ができます。
クリアファイルに使用されるポリプロピレンは難接着性の素材のため、瞬間接着剤が食いつかないのです。
そうはいっても、一応仮止め程度の強度は出るため、小物パーツを作るときはシートに接着剤で直止めしてしまうと楽です。
これがクリアファイルを使用する最大の利点ですね。
剥がしたら、両面をサンディングして気が済むまで薄くします。
尾翼も強度過剰なのでガリガリ肉抜きして行きます。
零戦作ってるんじゃあるまいし、頑丈だけが取り柄のP-40をここまで軽量化しなくても、という気もしないでもないですが、まあ、それはそれ。
飛行する模型飛行機は0.1グラムでも軽く、が身上です。
ちなみに、前にも少し言いましたが、レシプロ機をフリーフライト機として作る場合、本物が機首につけている重いエンジンが模型には無いため、後部胴体が重くなりすぎる傾向になります。
そのままでは重心が後ろ過ぎて上手く飛べないため、機首にバラストの重りを載せて調整する事になります。
しかし、バラストも機体重量の一部です。機体重量が重くなれば、それだけ飛びが悪くなります。なので、バラストは最小に抑えたい。
そのためには、重心から後ろの軽量化が重要で、特に重心から離れれば離れるほどテコの原理が効いてくるので、機体最後部である尾翼の軽量化はとても重要なのです。
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